楽器解説

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1-1 キーボードとは?
 皆さん、小学校の頃から慣れ親しんでいるピアノを思い浮かべてみてください。ピアノという楽器は、オーケストラよりも音域が広く、すべての音階を1台の楽器で表現することが出来る優れた楽器です。キーボードとは、鍵盤の付いた楽器の総称です。つまり、ピアノはもちろん、オルガンやエレクトーン、シンセサイザーまで幅広い楽器の事を言います。ピアノはピアノの音色しか出すことが出来ませんが、シンセサイザーを用いることにより、およそどんな楽器の音色でも、それに近い形での演奏が可能になります。よって、ポップスやロックの演奏では「キーボード」と言えば、ほぼ「シンセサイザー」のことを指します。


1-2 音色と特徴
 キーボード=シンセサイザーという前提で話をすると、様々な楽器の音を演奏することが可能です。以下に、よく用いられる音色を列挙します。

<キーボードでよく用いられる音色>

 アコースティックピアノ(本物があればなお良い)
 エレクトリックピアノ(Fender Rhodesなどのシミュレート)
 電子オルガン(Hammond B-3などシミュレート)
 ストリングス(Violin, Viola, Celloなどの弦アンサンブルのシミュレート)
 ブラス(Trumpet, Trombone, Saxなどの管アンサンブルのシミュレート)
 リード(矩形波やのこぎり波など、シンセサイザー特有の音色)
 パッド(フワーッとした、シンセサイザー特有の柔らかい音色)

 音色によって注意すべき点が、2つほどあります。

 ひとつは、「強さ」です。
 例えば、ピアノを弾く時、鍵盤を強く叩けば大きな音になります。これをキーボードでシミュレートする機能が「タッチセンス」あるいは「タッチレスポンス」などと呼ばれる機能です。確かにピアノ音色を用いる時には非常に有効な機能です。しかしながら、オルガンではどうか?実はオルガンの鍵盤を強く叩いても、音量が変化するわけではありません。つまり、オルガン音色を使用する時には、タッチセンスがオンになっていると無用な音量変化が起こります。このような場合は、タッチセンスをOFFにしなければなりません。一般に、ピアノ音色以外はタッチセンスをOFFにしておいた方が無難であると考えられます。
 もうひとつの注意点、それは「発音タイミング」です。
 ピアノは、鍵盤を弾けばすぐに音が鳴ります。けれども、ストリングス音色はどうでしょう?音の立ち上がりが緩やかなので、他の楽器と同時に弾いているつもりでも、明らかにタイミングが遅れてしまいます。つまり、立ち上がりの緩やかな音色を用いる際には、ちょっと早めに鍵盤を押すことが大切なのです。そうです、サバ読みですね。


1-3 キーボードの演奏
 おそらく多くの方々が、「私はピアノが弾けないから、キーボードなんて無理…」という誤った認識をされていると思います。ええ、それは「誤った認識」です。
 確かに、ピアノ曲を弾こうと思ったら、長年の地道な訓練が必要です。しかし、ここで我々がチャレンジするのは、あくまで「キーボード」です。バンドの中のキーボードというパートは、そんなに音数の多いものではありません。右手だけで単音を弾くことも多いのです。誤解を恐れずにいうと、「簡単です」。

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図-1 鍵盤音階表

 図-1に鍵盤音階表を示します。小学校の頃からおなじみの方も多いでしょう。これと譜面を見比べながら、ぜひキーボードにチャレンジしていただければと思います。逆に、ピアノ経験の長い方には、左手のベース音+右手の和音+旋律…という常識を捨てて臨んでいただければと思います。


1-4 キーボードの得意な調性(キー)
 キーボードが、ギターなどの楽器と決定的に違う点、それは、移調機能がない事です。
 もう一度、図-1を見てください。例えば、キー=Cメジャー(ハ長調)のスケール(ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ)は、白鍵だけで演奏することが可能です。しかし、キー=Dメジャー(ニ長調)のスケール(レ・ミ・ファ#・ソ・ラ・シ・ド#)では、黒鍵を2個使う必要があり、演奏がやや難しくなります。つまり、#や♭などは全て黒鍵の担当となり、その数が多いほど、一般的には演奏難易度が高くなります。
 よって、初めての演奏には、キー=C, G, Fなどの、#や♭が少ない曲がお勧めです。


1-5 機材について
 現在のシンセサイザーは、いわゆる「PCMシンセ」と呼ばれるものが多く、どんな音色でも一通り出してくれます。しかし、何度も言いますがピアノとは全く別の楽器です。ピアノ音色をピアノらしく弾くには、サスティーンペダル(別売)を接続する必要があります。そういう意味で、揃えておいた方が良い機材は、以下の通りです。

<キーボード本体以外に必要な機材>
 サスティーンペダル   ピアノの右ペダルに相当します。数千円。
 ボリュームペダル    音色間での音量差を調整します。数千円。
 接続ケーブル      アンプやミキサーに接続します。左右2本で数千円。

 さあ、まずはスタジオ常設のキーボードから。
 あなたも果てしなきキーボードの世界へ!

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2-1 ギターの種類
 ギターには大きく分けて3種類があります。

 写真-1のエレクトリックギターは、ロックには必ずと言っていいほど必要な楽器です。
 アンプやエフェクターでの歪の音も重要です。この楽器を用いるには、「クリーン音色」と「歪み(Distortion)音色」の使い分けが非常に重要です。これについては、後ほど詳しく触れます。

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写真-1 エレクトリックギター

 写真-2のアコースティックギターは、ポップスには無くてはならない楽器です。コードストロークもアルペジオもバンドサウンドとの馴染みが良く、万能的に使える楽器です。

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写真-2 アコースティックギター

 写真-3のクラッシックギター(ガットギター)は、独特の人間味あふれる音色と圧倒的な存在感で、ラテン音楽のバッキングやメロディーに活躍します。ただ、少し万能性には欠けるため、本項では詳しくは述べません。

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写真-3 クラシックギター

2-2 ギターの音階
 図-2は、ギターのネックを自分から見た際の音の並びを表したものです。ギターの弦は6本だけですが、同じ音を他の弦で代用することが出来る、奥の深い楽器です。ソロフレーズなども、この音の並び特有のギターらしいフレーズが出て来ます。

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図-2 ギターの音階表

2-3 ギターのコード(和音)
 6本の弦をフルに活用して、和音を押さえてバッキングをします。バッキングとは伴奏のことで、歌のバックを和音でサポートする事などを言います。詳しい例は専門書に譲るとして、ここでは図-3にCとAmの3コードを載せておきます。

 しかしながら、ギターにおいて、ひとつのコードの押さえ方は、ひとつではありません。図.3ではナットに近い部分、つまりローポジションの押さえ方を載せましたが、特にエレキギターにおいては、ギターの胴に近い部分(ハイポジション)で押さえることも多いのです。よって、譜面をしっかり確認しながら必要な音を出していくようにしましょう。

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図-3 CとAmの3コード

2-4 ギター特有の譜面
 ギター特有の譜面。それを、TAB譜と言います。譜-1にその例を示します。
 五線譜とは違い6本の線が並んでいます。上から1弦、2弦…一番下が6弦です。そう、コードフォームと同じ考え方で、左手の指の見た目をそのまま譜面にした、画期的な譜面です。番号はフレット番号に対応しています。

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譜-1 ギターのタブ譜

 初心者のうちはまずこのTAB譜で譜面に慣れ、だんだん普通の五線譜をみて弾けるように練習しましょう。なぜ五線譜の方が良いかというと、TAB譜の見た目だけでは新たなイマジネーションが生まれないからです。五線譜を読むのは面倒ですが、ここには音そのものが書いてあるので、理解できれば新たなイマジネーションが生まれます。それこそが、本当の意味での音楽なのです。

2-5 エレクトリックギターの音色
 先程、「クリーン」と「歪み(Distortion)」の話をしました。クリーントーンとは、その名の通り歪んでいない音色を指します。一方、歪みの音色はロックギター特有のものです。図-4では簡単に、ギターアンプでの音色の作り方を説明します。
 また、アンプでの歪みでは曲中の音色切り替えに無理があるので、写真-4のような「エフェクター」というものが市販されています。
 こちらを使用するのも有効です。(1万円弱から数万円程度)

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写真-4 エフェクター

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図-4 ギターAMP.の説明


 さあ、あなたもギター片手に素晴らしきバンドの世界へ!

■ギターコード一覧表 >>別紙

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3-1 ベースの種類
 ベースには大きく分けてエレクトリックベース(写真-5)とアコースティックベース(写真-6)があり、チューニングは同じですが用途や奏法などは大きく違います。ここでは、ロックやポップス向けの手軽なエレクトリックベースに絞って話を進めます。

 エレクトリックベースの中にも、フレットありのもの(フレッティッド)と、フレットなしのもの(フレットレス)があります。ここでは、一般的なフレットありの4弦ベースで話を進めます。

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写真-5 エレクトリックベース

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写真-6 アコースティックベース

3-2 ベースの音階
 図-5を見てください。左手の手元を覗きこんだ感じで、すべてのポジションの音が載っています。ベースは弦がたった4本しかありませんが、ギター同様、多くのポジションで同じ音程を出すことが出来ます。これにより、スムーズな演奏が可能となっているのです。

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図-5 ベースの音階表

 ベースとはその名の通り、「ベース音」を出すための楽器です。この「ベース音」とは何でしょうか?
例えば、Cメジャーというコード(和音)のベース音は、C(ド)です。Aマイナーというコードでは、A(ラ)です。いずれも和音の中で一番低い音を表し、ルートとか根音と呼ばれます。これが崩れてしまうと、和音感が非常に不安定となり、音楽そのものが崩れます。よって、ベースを演奏する上で一番心がけなければならないのは、「ルート音を明確に出す」という基本です。

3-3 ベースの譜面
 ベースは低音楽器なので、ト音記号ではなくヘ音記号を用います。譜-2に、ヘ音記号の音階を示します。参考にしてみてください。

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譜-2 ベースの音階表

 そして、ギター同様にTAB譜も用いることが出来ます(TAB譜詳細は、2-2ギターのページへ)。fig.20を見てください。本Webサイトトップページの音楽の、ベースとドラムの譜面です。このように、TAB譜では視覚的に分かりやすく演奏することが出来ます。
 しかしながら、ギター同様にTAB譜はあくまでも演奏の例であり、五線譜の音符は音そのものです。五線譜から曲のイマジネーションを引き起こせるよう、譜面に慣れ親しんでいきましょう。

3-4 リズム楽器としてのベース
 ベースは、ドラムやパーカッションと同様にリズムの根幹を左右する楽器です。譜-3を見てください。あるいは本Webサイトのトップページの音楽を聴いてみてください。バスドラムとベースのリズムがシンクロしているのが分かります。曲の中で、バスドラムとベースのリズムは非常に重要です。ベースを演奏する上で、バスドラムの音を十分に聴きながら、そのノリに身を任せるようにしましょう。そうすれば、バンドとしてのリズムが格段に良くなります。

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譜-3 ベース(TAB)とドラム譜

 さあ、あなたも奥深きベースの世界へ!

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4-1 ドラムセット
 ロックやポップスにおけるドラムの役割は、簡単に言うと、「バスドラ」、「スネア」、「ハイハットorライドシンバル」の3点によって、一定のビートを生み出すことです。
 この意味で、オーケストラなどの打楽器の役割とは全く異なります。
 では、「クラッシュシンバル」や「タム」などのパーツは、どのような役割をしているのでしょうか?

 写真-7を見てください。ドラムセットの各パーツの名称と、それらの記譜法(譜-4)を書いてみました。小節の左半分で、リズムがキープされているのが分かります。一方、小節の右半分は「タカタカトコトコドコドコドドドド」とダイナミックなリズムが入っているのが分かります。これを、「フィルイン」と言います。
 フィルインとは、演奏の盛り上がりを演出したりする、いわば「合いの手」のようなものです。クラッシュシンバルやタムの役割は、まさにこのためにあります。

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譜-4 ドラムの記譜

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写真-7 ドラムセットのパーツ名称

 整理すると、以下のようになります。

  1) リズムキープするパーツ     バスドラ/スネア/ハイハット/ライドシンバル
  2) フィルインで重要なパーツ    クラッシュシンバル/スネア/タム



4-2 リズムパターン
 譜-5に、比較的よく使われるリズムパターンを集めてみました。

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譜-5 リズムパターン例

 リズムキープする上で非常に重要なこと、それは「重心移動を少なくすること」です。常に体の中心の奥深くに重心があって、これが出来るだけブレないよう落ち着いて叩いてみましょう。特に、バスドラを踏む右足とハイハットの右手に重心が寄りがちです。右に重心が寄ってしまうと、体は体重を左に戻そうとし、その結果リズムがブレます。初めはバスドラから、次にスネアを入れ、最後にハイハットを加える…という手順で、体全体で安定したビートを出せるようにしましょう。


4-3 ベースとの連携
 譜-6(譜-3と同じ)を再掲します。ベースの項でも述べましたが、バスドラとベースは常にシンクロした関係です。完全一致とは違いますが、同じノリを出せていなければなりません。リハーサルの際は、常に見つめあっている状態でちょうど良いくらいです。しっかりとノリを合わせましょう。

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譜-6 ベース(TAB)とドラム譜 (譜-3 と同じ)



4-4 ドラムを所有する?
 一般家庭でドラムを練習するとなると、当然ながら近所迷惑になりそうです。このため、アマチュアの方で生ドラムセットを所有している方はごく僅かです。しかしながら、スネアドラムやペダルなどは、自分に合った物をスタジオに持って行く方が多いです。凝ってくると、シンバル類もでしょう。

 まずは、スティック1セットから。
 あなたもダイナミックなドラムの世界へ!